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前向きさとこだわり

井上養鶏場 井上くるみさん

鶏のための養鶏場

「卵を貰って喜ばない人はいない」、そう熱く語るのは井上くるみさん、井上養鶏場を陰から支える縁の下の力持ちである。井上養鶏場は採卵を目的に約2万羽の鶏を飼育し、卵を道の駅やスーパーなどに出荷、最近では通信販売なども行っている。「鶏達はこだわりをもった飼料で衛生的になおかつ自然な状態で育てる」という先代からの理念の下で、日光が当たりやすく風通しの良い開放型の鶏舎やこだわりの飼料と鶏からすると快適な空間を造り上げている。くるみさんは熟練の目で鶏の調子や卵の状態を確認するなど、養鶏場の最高品質の卵づくりをサポートしている。

くるみさんと卵

なぜくるみさんが養鶏場で働くことになったのか、それは卵との運命の出会いがあったからだ。くるみさんは市内の高校を卒業した後、東京の開業医を手伝った。その後島根に帰りガソリンスタンドで働いた。卵と無縁の暮らしのターニングポイントとなったのはお見合いだ。お見合いで知り合ったご主人がお見合いの後で卵Lサイズを5パックもプレゼントしてくれたのだ。当時の卵は高価なもので、それをたらふく食べることが出来ると思ったくるみさんは結婚を決意したという。それから現在までくるみさんは養鶏場二代目であるご主人と一緒に養鶏場で働いている。

手作りへのこだわり

くるみさんは養鶏場の仕事の合間に趣味のお菓子作りもしている。お金を払ってでも食べたいという声が多かったため、現在では毎週1度玉子サンドとプリンを販売している。プリンはカラメルソースまで手作りするなど、手作りへのこだわりから売り切れ続出の大人気である。また、くるみさんはイベントに精力的に参加している。2017年2月のまつえ食まつりでは卵焼きを販売、お客さん一人一人の好みに合わせてじっくりと焼き上げた逸品は会場で話題となり、終了間際まで列が出来る程の大盛況だった。

              受け継ぐべき“勘”

くるみさんに今後はどんなことに取り組んでいくのかを聞いてみた。くるみさんは「“勘”の受け継ぎ」と真剣な面持ちで語った。養鶏場もオートメーション化が進み、場内の気温などのデータはPCで管理され、卵は自動で運搬、集積されている。他の養鶏場程ではないが、鶏とのふれあいは減りつつある。ふれあいが減るということは自分の目で鶏の体調を見極める能力、いわば“勘”を育むのは難しくなる。この能力は鶏の体調を管理しいい卵を作るためには必須である。そのため、“勘”を受け継ぐことが課題なのだ。

どんなことも前向きに

課題を口にしながらもくるみさんの表情は曇ることはなかった。それは、「どんなことも前向きにとらえる」という考え方をくるみさんが持っているからだ。この考え方は高校卒業してから経験した激務によって培われたものである。長年養鶏場を陰から支え、仕事の合間に手作り食品を作り続けられたのもその考え方のおかげなのだという。いつも明るく元気よく、くるみさんはこれからも養鶏場を支えていく。

【データ】

〒692-0001 島根県安来市赤江町3360-100

TEL.0854-28-7298

FAX.0854-28-7267

【編集後記】

くるみさんはとても優しい方で取材の際にたくさんのおもてなしをしてくださいました。本当にありがとうございました。初めて養鶏場に行った私にとって、くるみさんのお話は笑いあり、驚きありと大きな刺激になりました。私もくるみさんのようにどんなことも前向きにとらえながらひと結びの活動や目の前にあるものに取り組んで行きます。

島根大学 福間太一

紙芝居作家 白根園子さん


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