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​東風

​松江のためのお蕎麦屋さん

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いつもあなたの「そば」に…

ここ、出雲地方に古くから伝わる食べ物と言えば…「そば」ですよね。

でも松江で育った方々にとってのそばって、観光客向けのものだとか、外食するイメージはないそうで…。

そこで今回は、そばをお店で食べるのっていいかも?と思えるようなお店を紹介します。

飲み屋街である伊勢宮町を南へまっすぐ行くと、雑賀町の標識があります。

何気なく通っていたら今まで見落としていたかもしれない、信号機のすぐ隣にあるお店が『手打ちそば 東風』です。

およそ10席の小さなお店だと聞いていたのですが、中に入ってまず驚いたのは、

座席の近さでした。

今回は、経営している小村純平さんに東風の「秘密」についてうかがいます。

『なぜ東風という名前に?』

東風とは、春に東から吹く風を意味する言葉です。

冬が終わり、春が来るタイミングに吹く風ということで、新しいスタートを思わせます。店を開いたのが春だったこと、そして「こち」という音の響きと、ひらがなで書いたときの優しい雰囲気が気に入り名付けたそうです。

そして、この言葉は、学問の神様として知られる菅原道真が歌に詠みこんだものとしても有名です。

『東風吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな』

小村さんがこの歌と梅の花が好きだったことも後押ししました。さらに、驚くべきご縁もありました。「実は前にここに入ってたお店も『東風』という名前だったんですよ。」

この東風におけるご縁は随所に見受けられます。

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『なぜこの小さな空間で?』

「自分の目が届く範囲でやりたいなって思ってて。自分と家族と。」

会社員生活を経て東風を開いた店主の小村さん。お店を経営する上で、ご縁―人とのつながりや距離感―を意識しているそうです。実際に今、東風のある場所を見つけたのもあるご縁からでした。なかなか場所が見つからず途方に暮れていたとき、知り合いの1人がこの場所を紹介してくれたのです。でも、その場所にはある秘密がありました。それは…。

「実はもともと別のお店が入ってたんですよ。」元は別のお店として使われていたものを小村さんが家族と一緒に改修しました。昭和43年ごろに建てられた東風の入る建物は、蔵のような民家のような見た目です。その実家に帰ってきたような安心感はそのまま東風の店内にも現れています。

また、店内には前の店のものがいくつか残っています。椅子は前のお店が使っていたもの、壁や天井は自分たちで修理したもの。

 

「もともとあるものを生かしながら、ほとんど自分たちで壁や天井は改装しました。」と話す小村さん。

狭く感じる店内は、小村さんやご家族の方の愛に溢れています。

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『カウンターのあるそば屋さん』

以前うかがったとき、私はこのカウンター席に座りました。店主の小村さんや店員さんと料理について話し、松江で開かれるイベントの情報を共有しあっていました。しばらくすると、隣の席に座った男性も話に加わり、大いに盛り上がりました。もちろん、隣の方とは初対面です。私自身は東風を訪れたのはその時で2回目。あっという間にまるで昔から馴染みの仲になったようでした。このアットホームさが私のお勧めする東風の魅力です。店主さんとすぐに話せるのももちろん、お客さん同士の距離の近さが、東風に集まる人に家族のようなつながりを感じさせるのです。

 

でも、このカウンター、店主さんとの距離が近い反面、作業の工程も見えてしまいます。小村さんにうかがうと、やはり覗かれることが多いそうです。「どうしても見られちゃいますよ(笑) でもカウンターのあるそば屋さんもなかなかないのでいいかなって(笑)」

 

タイミングを見計らって、店主さんやお客さんとの会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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『愛に包まれたお店、東風』

「看板は僕の奥さんが書いてくれたんです。メニューも。器も手作りのものが多いですよ。」

切り絵で店名を表した看板やメニューは手作りの柔らかさを残しています。器は地元山陰の工房のもので、ここにしかないものです。柔らかい色合いに心も和みます。店内を見回してみると、次々に気になるものを発見しました。「あぁ、それは知り合いが描いた絵で。あのだるまももらったんですよね。知り合いが作っているもので売り込みたいからうちに置いてくれって。」そう話す小村さんは少し嬉しそう。「お店をしてるといろんな人が来るんですよ。お客さんから貰ったものが結構たくさんあると思うなあ。」まさに、お客さんたちの愛に包まれているお店だなと感じました。

周りの方の愛はこちらにも。店内には、小村さんのご家族の方が生けている一輪の花もありました。花があると店の雰囲気が明るくなるんですよとおっしゃっていました。さらに、最初は家族だけで始めたお店も、今では手伝ってくださる方が増えたそうです。

「地元の方とか、蕎麦が好きな人のためのお店にしたいなって思っています。」と語る小村さん。

地元の方からもお客さんからも愛されている『手打ちそば 東風』は、松江にお住まいの方にこそ、おすすめのお店です。

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基本情報

<営業時間>

OPEN  11:30~14:30(売り切れ次第終了)

        17:30~21:00(L.O.20:30)

※夜は木金土のみ(予約優先)

CLOSE 日曜日・月曜日

TEL 0852‐67‐2618

〒690‐0056 松江市雑賀町237‐3

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編集後記​

外まで列ができている時もあれば、すんなり入れる夜もあったり。店主さんに聞いてもいつが空いているかは分からないそう。開店直後に行くのがおすすめかもしれません(笑)

季節限定メニューもあり、夜には地酒も揃っているので、通いたくなるお店です!

            仲野 香穂

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